[ 共に生きる ]

2021年秋。10日間にわたり、江東区の門前仲町、清澄白河、森下がアートが溢れ、深川の街なか全体が美術館になります。
主催は、深川とアートを愛する地域住民。「共に生きる」のテーマのもと、世界でも初めての試みとなる【アートパラ深川おしゃべりな芸術祭】が開催されます。江戸からの風情と情緒を残す下町の街じゅうに展示される、何らかの障がいを持つ方々から生み出された作品群。それらは間違いなく、私たちの心を掴むことになるでしょう。

日本国内で生活している障がい者は936万人。住民の約13人に1人が、何らかの障がいと共に社会生活を営んでいます。  
私たちは、その方々がつくりだすアートの魅力を知っているでしょうか。健康だと思っている自分が、どれだけ「健常とされるもの」の枠内で暮らし、その外の世界を知らないことに気づいているでしょうか。そうした自分の側にこそ、見えるはずのものが見えない、思い込みのフィルターがかかってしまっているのです。
また逆に、障がいのあるアーティストの方々は、人間本来の躍動感をたずさえた自らの作品の魅力と価値を、社会に伝える機会を与えられているでしょうか。
「アートパラ深川」は、アートを街に解放する芸術祭です。街なかを舞台としたアート展は、偶然の出会いをそこかしこにつくり出します。神社仏閣巡りとアート鑑賞が合体した御利益のある街歩き、さまざまなスタイルのアート展示や誰でも参加できるイベントも盛りだくさん。深川という舞台が世界中から訪れた人々に感動を与えるでしょう。

アートの力は人々を引き寄せ、立ち止まった人たちの「対話」を生みだします。曇りなき眼で「美しい」を感じとり、正当な価値と魅力が知られることは、障がいのある方々の個性や才能を活かすことができる社会へとつながります。誰もがそれぞれを認め合い、支え合う「共に生きる」社会が、ここから実現するのです。
それこそが私たちの誇りとするこの街のレガシーになっていくものと確信します。